台湾茶風味教育の再設計について

「初級」を、もう一度、初級に戻す

2026年も半分が過ぎました。
会員の皆さま、また日ごろ教える側に立つ講師の皆さまには、上半期のお茶の会や講座で、忙しくも実りある日々をお過ごしのことと思います。

私事ですが、今月、私は台湾へ一時帰国し、茶改場(台湾・農業部 茶及飲料作物改良場)や産地の状況を確認してまいります。
その報告は追って会でお伝えします。

本稿では、この秋に再開する初級講座の「設計思想」について、教える立場の皆さまと共有しておきたいと思います。
宣伝ではなく、教育の話です。

なぜ、いったん止めたのか

2024年、華泰茶荘は「初級台湾国際評茶師講座」を三度開きました。
当時はまだ、海外で台湾茶の風味教育を体系的に行うための教材が、世界的にも整っていませんでした。
私たちは茶改場と連携し、ほとんどゼロから教材を組み、授業をしながら改善を重ねました。
開拓としては意義がありました。

一方で、率直な反省もあります。「初級」と名づけながら、内容は中級に近かった。
試験も講義も、専門的に踏み込みすぎていたのです。
すでに学んだ方には刺激的でも、これから入る方には敷居が高い。
教える側なら、この問題の重さはお分かりいただけると思います。
入口が高すぎる教育は、裾野を広げない。

「現場・標準・科学」の三層を、初級の高さに置き直す

私が教育で一貫して大切にしているのは、三つの層です。

一つ、現場
生産者や職人が、分単位で下す判断。
萎凋(いちょう)や做青(さくせい)などの製茶工程の見極めは、文献ではなく、手と鼻が覚えるものです。

二つ、標準
ISO や台湾 CNS、中国 GB といった規格が定める共通のものさし。

三つ、科学
TBRS 台湾茶風味輪(産地・品種・製法を風味の語彙で地図化した評価ツール)に代表される、官能評価の共通言語です。

2.0版で行ったのは、この三層を「薄める」ことではありません。
三層を保ったまま、初級者が上れる段の高さに置き直すことです。
順番を整え、品飲(ひんいん)のポイントを明確にし、学ぶ時間に余裕を持たせました。

文献を訳す教育への、敬意と、もどかしさ

台湾茶・中国茶の文献を丹念に翻訳し、体系立てて紹介してこられた先人がいます。
その土台の上に私たちは立っており、深い敬意を持っています。

その上で、あえて申し上げます。
茶は、紙の上だけでは学びきれません。
「蜜香とは何か」
「清香と焙煎香はどう違うのか」
回甘(かいかん/飲んだ後に戻ってくる甘み)をどう感じ分けるのか」——
これらは、実際に飲み、香りを確かめ、言葉にする訓練でしか身につきません。
私が語れるのは、父・林秀峯から受け継いだ眼で、自分が触れてきた茶だけです。
教える側こそ、この「触れて語る」訓練の設計を持つべきだと考えています。

教える皆さまへ —— まず8月5日に

本講座 Ver2.0 は、10月17-18日に一回のみ、先着順で開きます。
加えて、内容の方向性を先に確認したい方のために、8月5日にオンラインのミニ体験講座(1000円)を設けました。
風味輪の使い方と本講座の概要を、質問の時間つきでご紹介します。

生徒に台湾茶をどう教えるか——
その教材設計のヒントとしても、まずこの1000円の場をご活用いただければと思います。

学びの芯は、暗記ではありません。
風味輪は、覚える表ではなく、指でたどる地図です。
その地図の引き方を、この秋、ご一緒に整えましょう。

▶ 関連講座:
【初級台湾国際評茶師 本講座 Ver2.0】
https://www.chinatea.co.jp/shop/products/detail/3430

【 8/5 ミニ体験講座】
https://www.chinatea.co.jp/shop/products/detail/3431

(中華茶講師協会 理事長| 五代目店主 林 聖泰 より)
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先日公開した「茶館ノート」第3回では、九份(きゅうふん)の茶藝館を取り上げました。
台湾を旅する気分で、あわせてどうぞ
https://www.chinatea.co.jp/chakannote-3/
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🍵 お茶の「言葉にする」を、もう少し
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