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職人の技・龍井茶作りに挑戦!

今回、この茶藝技師ツアーの中で、龍井茶の名産地のひとつ「梅家塢」にも訪れ、中国茶インストラクター達が、龍井茶作りに挑戦しました。

茶作りの前日、西湖周辺は雨に見舞われ心配されましたが、当日は雨もあがり、いよいよ龍井茶作り体験の始まりです!

まず、最初の過程は「攤放」です。
西湖地域で手摘みで摘まれた龍井の生茶葉を、10時間ほど攤放します。皆さんも緑茶の授業の中でお勉強されたかと思いますが、これは「発酵」とは違うものです。摘んだ生茶葉の新芽や葉、茎の中の水分を均一に整えるため、また、味と香りを引き出すために、龍井茶にとって欠かせないプロセスです。

次のプロセスは、いよいよ釜炒りです。
まず、釜のスイッチを入れ、すばやく熱くします。
次に、特製の固形の茶油を高温になった釜に均一に塗ります。すると、大きな音を立て、白い煙が立ち、一瞬のうちに茶の香りが鼻先まで届きました。「よし、茶葉をいれましょう!」職人さんの合図で、茶葉を投入しました。
片手で炒めながら、散熱させていきます。簡単そうに見える動作ですが、釜は200度の高温ですし、10分以上も同じ姿勢で作業し続けなければならず、実際にやってみるとかなりきつく感じました。
生茶葉を炒めて出る水蒸気の熱さを我慢しながら作業を続けていると、龍井茶の香りが室内に溢れてきました。

それにしても、半袖なのに体中汗でびっしょりです。繊細な龍井茶誕生の裏には、こんなに大変な苦労が隠されていたのですね!
30分ほど経過した頃、茶葉の色がだんだんと深緑色に変わり始めました。いよいよ後半の作業に入ります。職人さんによると、前半の釜煎りの作業は、一人前になるのに3年かかるのだそうです。後半の整形乾燥は、10年かかってやっと一人前になれるのだそうです。なんと、最初に練習するときには、本物の龍井茶葉ではなく、「稲の茎」を使うとか。そんなに難しい作業なのに今回、いきなり龍井茶葉を使っても大丈夫なのか、不安になってきました…。

しかし、何といっても、今回の職人さんは、中国茶の最高権威機関である茶葉研究所の、釜炒り指導の先生ですから、その心配も無用だったようです。乾燥の作業はやはり非常に難しく、リズムのよい見事な動きで進めなければなりません。茶葉を釜の壁に押し付けながら、だんだんと扁平状にしていきます。均一に成形しなければなりませんし、ときどき力強く押さなければなりません。釜の温度は150度以上もありので、素手で釜に触れてしまうと、火傷してしまう可能性が極めて高いです。さすがの中国茶インストラクター達も、6人で1分づつ交代しながらでないと無理でした。
途中、何度か職人さんが腕前を披露してくれましたが、その腕は非常に熟練されたもので、なぜそんなにも整った扁平型に押すことが出来るのか、感心させられるばかりでした。やはりプロですね!どうりで「炒茶師」というライセンスがあるわけです。
(※茶藝師、評茶師、炒茶師の三つが中国の茶葉界で最も権威ある資格です。)

生葉から仕上がるまで、約5時間がかかりました。
一生のうちに何度とできない非常に貴重な体験となりました。 出来上がったばかりの龍井茶のうっとりするような香りや、茶畑に光る初々しい龍井茶の新芽の姿が、今も頭から離れません…。

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