茶葉の形は、製茶の履歴書!「四種六杯」で発見した烏龍茶の奥深さ

〜製法・産地・工夫茶器から読み解く、2026年最後の楽茶塾開催報告〜

「細長い烏龍茶と、丸い烏龍茶。なぜ形が違うのでしょう?」

「同じ茶葉でも、茶器を変えると味わいは変わるのでしょうか?」
一見すると簡単そうですが、いざ説明しようとすると、意外に奥深い質問です。

10月25日(日)、渋谷・華泰茶荘3階の茶藝館にて、2026年最後の楽茶塾「烏龍茶、三つの進化」が開催されました。
霜降を迎え、茶の温もりがいっそう心地よい季節。
今回のテーマは、「製法・産地・工夫茶器」。
四種類の烏龍茶を六杯で飲み比べながら、茶葉の外形、香味の形成、産地の特色、茶器による抽出の違いを、五感で学ぶ講座となりました。

ご参加くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

■ 第一の発見|茶葉の形には、製茶技術が隠されている

今回の比較茶は、武夷奇種岩茶、鳳凰老叢単叢、文山包種茶、阿里山烏龍茶の四種類。
並べてみると、同じ烏龍茶とは思えないほど茶葉の形が異なります。
細長く揉まれた条形茶と、丸く揉まれた球形茶。
この違いを理解するには、製茶工程に注目する必要があります。

烏龍茶の基本的な工程である萎凋、做青、殺青、揉捻、乾燥。
さらに、球形茶の製造に用いられる団揉などの技術が、茶葉の形状や香味の形成に関わっています。
茶葉の外形は、製茶工程を読み解くための重要な手がかりです。

ただし、外形だけで製法や品質のすべてがわかるわけではありません。
外形を観察し、香気や滋味、水色、葉底(茶ガラ)を合わせて評価することが大切です。
これこそが、評茶の基本でもあります。

■ 第二の発見|同じ品種でも、同じお茶にはならない

今回、特に注目したいのが、台湾の文山包種茶と阿里山烏龍茶の比較です。
いずれも青心烏龍品種の茶でありながら、製茶方法や栽培環境などの違いによって、異なる特色を持ちます。

文山包種茶の条形と、阿里山烏龍茶の球形。
茶葉の外形のみならず、香りや滋味にもそれぞれの特徴が現れます。
ここで学べる重要なことは、「品種」「産地」「製茶方法」を混同しないことです。
品種は茶の品質を左右する重要な要素ですが、それだけで完成茶の香味が決まるわけではありません。

栽培環境、摘採時期、製茶工程、焙煎条件などが複雑に関わり、一杯の茶の個性が形成されます。
この視点は、茶の説明を行う講師にとっても、評茶技術を磨く学習者にとっても欠かせません。

■ 第三の発見|同じ茶葉なのに、なぜ六杯?

今回の四種六杯という構成には、もう一つの学びがありました。
武夷奇種岩茶と鳳凰老叢単叢を、それぞれ異なる工夫茶器で淹れ、香味の違いを観察する体験です。

茶器の材質、容量、形状、保温性などは、茶の抽出条件に影響を与える可能性があります。
一方、厳密な比較評価では、茶葉量、水温、抽出時間、水質などを揃えることが必要です。
この違いを理解することが、工夫茶と標準化された評茶の関係を考える第一歩となります。

おいしく淹れるための茶藝と、特徴を正しく評価するための評茶。
目的は異なっても、どちらも茶葉を深く理解するための大切な技術です。

■ 「香りがよい」を、もっと豊かな言葉へ

講座では、台湾茶風味輪も活用しました。
花香、果香、焙煎香など、茶の香気を整理し、自分が感じた特徴を言葉にする。

評茶は、単に「おいしい」「おいしくない」を判断する作業ではありません。
香気の性質、滋味の質、口当たり、余韻などを、できるだけ丁寧に観察し、伝えることが重要です。

しかし、最初から難しい専門用語を使う必要はありません。
まずは感じること。
次に比べること。
そして、自分の言葉で表現してみること。

「好き」から「わかる」へ。「わかる」から「伝えられる」へ。
その積み重ねが、中国茶・台湾茶講師や評茶師としての成長につながります。

■ 学ぶ楽しさを、次の茶縁へ

今回の講座をもちまして、2026年の楽茶塾はすべて終了いたしました。
厳選された受賞茶や秘蔵茶の飲み比べ、わかりやすい講義、工夫茶器による比較体験。
楽茶塾は、初心者の方にも中国茶の魅力を伝えながら、経験者の方にも新しい視点を提供する、貴重な学びの場です。
講座後のアンケート回答者には、復習に役立つ特製副読本も用意されています。

茶文化の継承に必要なのは、知識を覚えることだけではありません。
自ら体験し、考え、感じたことを、次の人へ伝えていくこと。
そして、その学びを支えているのが、人と人との茶縁です。

ご参加くださった皆さま、今年一年、本当にありがとうございました。

■ 2027年2月、紅茶の歴史と進化を学ぶ

来年最初の楽茶塾では、次のテーマが企画されています。
『紅茶の始まり 〜正山小種・祁門紅茶・台湾紅茶の新品種と製法〜』(仮)
紅茶の歴史的な発展から、製茶技術の変遷、台湾における品種改良と新しい製法まで。
紅茶の多様性を、実際の比較を通じて探究する予定です。

■ 今後の専門講座・茶文化イベント

11月14日(土)・15日(日)|台湾茶・中国茶プロ養成集中講座
NPO中国茶文化協会認定の中級資格に対応した2日間の集中講座です。
36種類以上のお茶と向き合い、茶学・製茶・評茶・茶藝の基礎と実践を体系的に学びます。
講座詳細・お申し込み


11月25日(水)|【WEBライブ講座】『ChaTea五代目 中国茶旅探検記』
第3回【茶馬古道・シャングリラと千年大茶樹〜雲南の茶旅行紀行】
茶馬古道、シャングリラ、千年大茶樹をテーマに、雲南の茶文化と民族・歴史の関係を考察します。
【WEBライブ講座】『中国茶旅探検記』 第3回講座詳細・お申し込み

 

2027年1月17日(日)|日本華泰茶荘30周年記念 新年茶会
【天地人韻 × 歳月風華】〜新茶の輝き、五十年の余韻。
品評会受賞新茶と五代目秘蔵老茶を通じて、製茶技術と長期保存・熟成による香味の変化を考える特別なプチ贅沢な茶会です。
<2027新年茶会>【天地人韻 × 歳月風華】詳細・お申し込み


茶を学ぶ喜びを、茶を伝える力へ。
「以茶会友」の精神を大切に、これからも中国茶文化の普及と、次世代の講師・評茶師の育成に努めてまいります。
また新しい茶席、新しい学びの場でお会いしましょう。

一般社団法人 中華茶講師協会 理事長 林聖泰

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